2025-03-04
相続した不動産を売却する場合、相続税の一部が利益を計算する際の取得費に加算できることをご存じでしょうか。
取得費に加算できれば、利益(譲渡所得)を減らすことができるため、結果的に所得税や住民税の節税につながります。
そこで、取得費加算の特例とはなにか、特例が適用できないケースと併用可能な税制度について解説します。
藤沢市・鎌倉市で不動産を相続する予定のある方は、ぜひ参考になさってください。
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相続した不動産を売却する予定がある際に、ぜひ知っておきたい制度が「取得費加算の特例」です。
特例が適用されれば、不動産を売却した際に発生する所得税や住民税といった税金を軽減できる可能性があります。
ここでは、取得費加算の特例とはなにか、また、適用要件や計算式について解説します。
取得費加算の特例とは、支払った相続税の一部を譲渡所得を計算する際の「取得費」に加算できる制度です。
不動産を売却すると、利益に応じて所得税や住民税といった税金がかかります。
その際に計算するのが譲渡所得(利益)です。
譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)
前述したように、譲渡所得に対して税金が課税されるため、譲渡所得を減らすことが税金の節税につながるというわけです。
つまり、取得費や譲渡費用をできるだけ計上したほうが、譲渡所得が減り、結果的に支払う税金が軽減できます。
この特例が適用されれば、取得費に相続税の支払った一部を計上できるため、譲渡所得にかかる税金の負担を減らすメリットが得られます。
なお、取得費とは、不動産を購入した際にかかった費用のことで、譲渡費用とは売却時にかかった費用のことです。
取得費加算の特例を利用するためには、以下の3つの要件を満たしている必要があります。
このように、特例が適用されるのは相続税を納めた方で、かつ相続開始の3年10か月以内に売却していることが条件です。
取得費に計上可能な相続税額を算出するためには、以下の計算式を用います。
加算可能な相続税額=相続税額×不動産の課税価格/(相続した全体の課税価格+債務控除額)
たとえば、相続税額が5,000万円、不動産の課税価格が6,000万円、相続全体の課税価格が1億円、債務控除が0円だった場合は、以下のように計算できます。
加算可能な相続税額額=5,000万円×6,000万円/(1億円+0円)=3,000万円
このケースの場合は、3,000万円が取得費に加算できる金額となります。
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取得費加算の特例には、適用できないケースがあるため注意が必要です。
贈与により取得した場合は、原則として特例は適用されません。
前述した要件にもあったように、適用されるのは相続や遺贈で財産を取得した方のみです。
ただし、例外として、以下の3つの制度を利用した場合は適用されます。
上記2つの制度を用いた場合は、贈与であっても例外的に認められます。
夫婦間の相続であるときも、特例は適用されない可能性が高いです。
夫婦間の相続の場合、配偶者の税額軽減の特例により、相続税がかからないケースがほとんどのためです。
前述したように、特例が適用される要件として、相続税を納めていることとされています。
配偶者の場合は、特例により相続財産が1億6,000万円もしくは法定相続分の範囲内であれば課税されることはありません。
したがって、夫婦間の相続で相続税が課税されない場合は、そもそも取得費に加算できる相続税額がないので利用はできません。
法人が遺贈により財産を得た場合は、特例を利用することはできません。
そもそも、法人が財産を売却した場合は、法人税が課税されるためです。
この特例では、あくまでも譲渡所得にかかる税金の所得税や住民税の負担軽減につながるため、適用対象外となります。
前述しているように、この特例は譲渡所得で計算する取得費に加算される制度です。
そのため、譲渡所得以外の事業所得や山林所得、雑所得として課税されるものは、当然ながら特例の対象外となります。
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相続税の一部が譲渡所得の計算に加算できる取得費加算の特例ですが、別の税制度と併用することでさらに節税することが可能です。
ここでは、併用可能な税制度について解説します。
ご自身が住んでいた居住用財産を売却した場合は、譲渡所得から最大3,000万円控除できる特例と併用することが可能です。
所有期間の長短に関係なく利用可能で、併用することでさらなる節税が期待できます。
なお、特例により譲渡所得がゼロもしくはマイナスとなるケースも珍しくないため、場合によっては税金が発生しない可能性もあるでしょう。
ただし、相続後に一時的に居住していた場合などは、適用外となるため注意が必要です。
居住用財産の買い換え特例とも併用可能です。
これは、マイホームを買い換えたときに発生した税金を将来に繰り延べられる制度です。
たとえば、相続したマイホームを5,000万円で売却し、8,000万円で買い換えたとしましょう。
要件を満たし買い換え特例が適用されると、5,000万円の売却代金に課せられる税金は、8,000万円で購入した家を売却するときにまとめて課税されるという制度です。
この特例も取得費加算の特例と併用できるため、節税効果が期待できるでしょう。
取得費加算の特例は、小規模宅地等の特例とも併用できます。
この特例は、被相続人(亡くなった方)が相続開始直前まで居住用・事業用等で使用していた宅地などを売却した際に、一定面積までは相続税の課税価格を減額できる特例です。
ただし、小規模宅地等の特例は、利用要件などが複雑なため、利用を検討する際はよく制度を確認してから進めましょう。
このように取得費加算の特例は多くの税制度と併用できるため、うまく利用して節税をしましょう。
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取得費加算の特例は、譲渡所得を計算する際の「取得費」に支払った相続税の一部を加算できる制度で、結果的に所得税や住民税の負担を軽減することが可能です。
利用するには、相続や遺贈で取得していることなど、いくつかの要件を満たす必要があるため注意しましょう。
また、マイホームを売却した際に利用できる3,000万円の特別控除や、小規模宅地等の特例とも併用可能なため、うまく利用して節税を目指しましょう。
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